高野街道から急な石段をのぼると、重要文化財の本殿をもつ烏帽子形八幡神社があります。烏帽子形城は楠木正成の河内七城の一つで、正成公をまつるためこの神社が創祀されたと伝えられています。本殿は1480年建立。烏帽子形の照葉樹林は、この神社の社寺林として長い年月守られてきました。
烏帽子形八幡神社の南側は美しい竹林となっていて、竹林を抜けると、国道371号線から烏帽子形公園の駐車場に上る舗装道路に出ます。
その名の通り、春には、たくさんの種類の桜が満開になり、私たちを迎えてくれます。この広場は明るく、ホタルブクロをはじめいろいろな草花が咲きます。この奥の谷をのぼっていくと、堀の道にでます。尾根を上る道もあり、堀の道の続きにでます。桜の園の近くの東屋が、通常の観察会の集合場所です。
駐車場の奥にある池(湿地)の脇をとおり、階段を上っていく道が、あめんぼ小径です。春にはコバノミツバツツジの花、秋には落ち葉がふかふかで、ヤマグリやヤブムラサキの実が私たちを楽しませてくれます。いろんなカエルも顔を出してくれます。
あめんぼ小径を上りきったら、北側は絶壁の竹やぶとなっています。東に向かう道を登り切ると、ウラジロ、コシダなどシダ類が多く、ナツハゼ、コバノミツバツツジ、コツクバネウツギなど低木類のある明るいアカマツ林になっています。下っていくと、桜の園から上ってきた道と合流し、堀の道へと続きます
プール裏の広場の奥から尾根を上っていく道です。日当たりが良くコシダが生え、モチツツジやコツクバネウツギなどの花木やヤマハゼの実生(実から生えた幼木)など明るい場所が好きな木が見られます。
深い谷になっていて、一年中落ち葉がふかふかです。烏帽子形山は南北朝時代の山城として使われたもので、人工的に掘られた空堀の地形が今もきちんと残っているのが珍しいとされています。堀の道は下草が少なく、地形の凹凸がみやすくなっています。イグチのなかまなど大きなカサのきのこがよく見られます。
堀の道から上ると、大きな平坦地があります。ここは、山城の時代に本陣を置いた場所だろうと言われています。おそらく戦後すぐに燃料の材としてコナラの木がたくさん植えられました。ここもきのこやアキノギンリョウソウなどがよく見られます。
烏帽子形山でいちばん高い場所です。ここからは、河内平野全体が見渡せ、遙か遠くは飯盛山や大山崎ののろしも見えただろうと思われます。そのため高野街道の要所としての烏帽子形の利用価値は高く、時代を超えてたくさんの武将たちに烏帽子形は山城として使われました。
烏帽子形公園の北の尾根筋は、常緑樹のそよごが多く育っています。また、ここにも各所に掘などがあり、いろいろなきのこが一年中見られます。また、そよごの小径の南側は、深い谷になっていて、近畿では珍しい照葉樹シイの極相林が広がっています。
さいなみ広場から上がる深い谷筋の小径で、河内長野駅からはいちばん上りやすい道です。春に薄緑の釣り鐘形の花をつけるホウチャクソウの群落があり、5月頃にはエゴノキの下にオトシブミの巻いた筒状の葉が見つかります。冬にはノウサギのかじったスゲの葉っぱがたくさん見つかります。また、耳を澄ませば小鳥の声がたくさん聞こえます。
河内長野駅から歩いてくると、烏帽子形公園にいちばん入りやすい場所です。トイレもあり、東屋や小さなグランドがあります。北谷の小径に上るあたりには、ツクシが生え、モグラの巣やクワガタなども見つかっています。
しだの道を上ると大きなシイの木があるヒノキの森(神社の社寺林)にでます。尾根筋の道の地面にはシイの板状の根が張り巡らされていて、道の両側には幹が赤くなっているヒノキもあります。これは神社の屋根の葺きのため、皮を剥いで利用しているからでしょう。古墳広場近くはヤマザクラやクリ、コナラなどの落葉広葉樹林になっていて、クロバイやタカノツメなど、いろいろな種類の高木が見られます。
烏帽子形山の北のはずれで、展望台が建っています。ここから、富田林方面が見えます。コバノミツバツツジ、ザイフリボク、モチツツジと春に咲く花木が多く、秋もタカノツメの黄葉やピンクの花がかわいいコウヤボウキなどが楽しめます。展望台の下で、アリジゴクの巣がみられるときもあります。
高野街道沿いの民家の横と竹やぶの間から上ってくる道で、入り方がちょっとわかりにくい道です。緩やかな坂で、古墳広場の近くにつながっています。春はピンクの花のモチツツジが多く見られ、秋にはコナラやクヌギのどんぐりがたくさんみつかり、コウヤボウキの花も見られます。また、冬に葉が落ちないため受験のお守りになっているヤマコウバシの木もあります。
ここは、烏帽子形八幡神社のトイレ脇から古墳広場に向かって上っていく、緩やかな上り坂です。暗いシイの森の中ですが、初夏にはヤブミョウガの白い花が見事です。
烏帽子形山のなかでは、唯一なだらかで日当たりの良い芝生広場がある場所で、草地を好むバッタがたくさんみつかります。河内長野の地場産の材木でつくった遊具や東屋もあり、烏帽子形山の南側にある岩湧山方面を眺める展望台も設置されています。西側を降りていくと、竹やぶの道、遊具の奥へのぼっていくと、整備されている竹林をとおり、あかまつの道へ上っていけます。
烏帽子形公園の西の外れの入り口からなだらかに上っていく道です。入り口付近にウワミズザクラの大木が数本あり、春は白い房状の花がふんわりと咲いてみごとです。クヌギやアベマキの高木が多く、足元にはスミレやヒメウズなど小さな草花が見られます。西側は川筋で、うっそうとした藪になっており、ヒメボタルなども確認されています。登っていくと整備された竹林に続きます。